ママパパどくた〜ブログ
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血管外科でローテーション!

私はオーストラリアの総合病院の血管外科で3か月間働きました。

その時の経験をシェアしたいと思います。

なぜ血管外科ローテ?

こちらで医籍登録をする際に、Standard Pathwayというのを選んだ人は AMC Part1, Part2という試験をクリアした後にAHPRAという医籍登録機関にProvisional Registrationとして登録されます。いわゆる仮免許です。

それをフル免許(つまりGeneral Registration)に変える際に、救急8週、内科10週、外科10週を含む合計47週を医師として働く必要があります。

私の外科ローテーション枠はたまたま血管外科にあてがわれ、そういうわけで血管外科で働きました。

血管外科には何人医師がいるの?

私を含めたHMO2人、レジストラ(Registrar)のunaccredited 1人、accreditedが1人、アイルランド出身のFellowが1人の合計5人で主に働きました。

レジストラの上のポジションはコンサルタントと呼ばれ、いわゆる専門医で自分ひとりで判断を下す立場です。コンサルタントはこの病院ではおそらく8人ほど存在しており、外来とオペ室にしか登場せず、病棟に来ることはなく、HMOと話すこともない殿上人のような立場です。笑

1日のながれ

外科生活はやはり朝が早く、私の勤務は7時~17時でした。

1.ついたらまずカルテを確認し、患者リストを更新します。

リストの中には

  1. 名前、部屋番号、年齢 
  2. 入院疾患名とその状況、既往歴、直近3回の採血結果の抜粋
  3. 現在投与している抗血小板薬/抗凝固薬/抗菌薬、現在のプラン

などが含まれており、簡単に患者の状況を把握できるものでした。

2.7時半~8時 HMOとレジストラ/フェロー全員でミーティング

3.8時~8時半 病棟回診(包交したり)

4.院内のカフェでみんなで一息 (フェローが毎回おごってくれます)

5.手術がある日はそのまま手術へ

手術がない日は病棟に戻ってカルテ業務、検査オーダー、退院処方やサマリ作成

6.週に1回のみ9時~12時でPreadmission Clinicという外来をHMOが行います。

これは入院前に手術に臨んでいいか麻酔科医と相談し、休薬が必要な薬や前日深夜から絶食してくださいね、といった連絡事項を患者に行ったり、心臓や肺の併存疾患の具合が心配ならば検査をオーダーしたりする外来です。

手術枠は終日が週3日、午後のみが週1日です。

7.17時勤務終了

終日オペの日は16時半ころから頃合いを見計らってオペ室で入院患者についての引継ぎをHMOからレジストラに行い、HMOは17時~18時の間に勤務終了、帰宅します。

帰ろうとしていたタイミングで入院患者に急変があると帰宅時間が遅くなることはあったのですが、それでも18時半で、ほとんどの日で17時~17時半に帰宅できました。

週に1回は12時で勤務終了する”Half day”があります

お給料事情

契約時の所定時間以上の勤務時間となればその分しっかり時間外手当がでます。

そしてそれは所定時間内よりも単価が1.5~2倍となります。

私の契約時の所定時間は2週間で76時間だったため、血管外科で週5で1日10時間働くと余裕で超えてしまい、その分は上記のレートで時間外手当が支給されました。

日本ではそもそも契約時に時給での給与ではないことが多く、時間外手当もかなり安く、また毎月の上限がありました。(45時間まで支給、とか)

数年前の話なので今は改善していることを願います。

またこちらでは医療に限らず全職種で共通なのは、祝日の給料は2倍以上になることです。(しかし日本と違って祝日は年間に7回ほどしかありません。)

お金がでるなら仕方ないけど働くか、という気持ちにもなりやすいのでいいシステムだなと思いました。

血管外科で扱う疾患たち

日本では上下肢の末梢血管疾患は循環器内科、内頚動脈は脳外科、胸部腹部大動脈は心臓外科が担当することが多いのではないでしょうか。

こちらでは上記すべてが血管外科の守備範囲となります。

(大動脈弓より手前、上行大動脈はCardiothoracic surgeryの守備範囲となります)

そのため圧倒的に多い疾患は下肢末梢血管疾患(PVD)です。

ASOや糖尿病による足壊疽も担当し、アンプタもなんと血管外科が行います。

日本ではアンプタといえば整形外科か形成外科だと思います。

また静脈疾患も血管外科の守備範囲です。

内頚動脈狭窄症やAAAなどももちろん多いです。

こんなにも日本と守備範囲違うの?!と驚いたのを覚えています。

シロスタゾールは使えない

なんとシロスタゾールはむしろ使える国の方が少ないそうです。

こちらではアスピリン一択での戦いでした。

DAPTにする場合はクロピトグレルやチカログレルなども使えます。

ヘパリンの使用よりエノキサパリン(クレキサン)の使用割合が高かったのも新鮮でした。

まとめ

いかがでしたか?

少しこちらの血管外科ローテの雰囲気が感じ取れましたでしょうか?

海外での医師の仕事ってどんな様子か私は以前は全く見当がつかなかったので、そういう方の一助となっていれば幸いです。

POSTED COMMENT

  1. pine より:

    労働環境がとても良さそうですね。
    当直はないのでしょうか?

    • ママドク より:

      コメントありがとうございます。日本のように日勤してそのまま当直をする、という勤務体系はこちらにはないようです。私のポジションでは夜勤は全くなく、レジストラはオンコールの日にその内容次第で夜間に呼ばれたり電話対応したりはしています。

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